
Roland
TR-707
80年代に発売されたリズム・マシン。内蔵されたドラムサウンドとシーケンサー機能により、多彩なリズムパターンを打ち込み、演奏することが可能。アナログシンセサイザーのような独特のサウンドキャラクターを持ち、打ち込みやすい操作性も魅力。
TR-707 のレビュー
Roland / TR-707 とは
Roland / TR-707 は、1985年に発売された、アナログ・ドラム・マシンとシーケンサーを一体化したリズム・マシンです。当時としては画期的な、PCM(パルス符号変調)方式によるリアルなドラム・サウンドを搭載し、その独特のサウンドキャラクターと直感的な操作性から、エレクトロニック・ミュージック、特にハウスやテクノの黎明期において、多くのプロデューサーやミュージシャンに支持されました。
Roland / TR-707 の特徴
1. PCMドラムサウンド
TR-707は、キック、スネア、クラップ、ハット、タム、シンバルといった基本的なドラム・サウンドをPCMデータで収録しています。これらのサウンドは、温かみがありながらも、どこか乾いた、個性的な質感を持ち合わせており、他のドラム・マシンにはない独特のサウンドメイクができます。特に、そのローファイ感は、現代の音楽制作においても、新鮮な響きとして再評価されています。
2. 直感的なシーケンサー
TR-707のシーケンサーは、パネル上のボタンで直感的にパターンを作成できる点が大きな魅力です。ステップ・シーケンシングはもちろん、リアルタイム録音にも対応しており、思いついたフレーズをその場で形にすることができます。また、各サウンドの音量やディケイ・タイムを個別に調整できる機能も搭載されており、細かなニュアンスを付け加えることがかんたんです。
3. MIDI機能
MIDI(Musical Instrument Digital Interface)に対応していることも、TR-707の重要な特徴です。これにより、他のMIDI対応楽器やシーケンサーと同期させることができ、より複雑な楽曲制作にも対応できます。外部シーケンサーからTR-707をコントロールしたり、逆にTR-707のシーケンサーで外部音源を鳴らしたりといった、高度な連携も可能です。
4. 多彩な出力端子
TR-707は、各ドラム・サウンドを個別のモノラル・アウトプットから出力できる設計になっています。これにより、ミキサーやアウトボード・エフェクターで各サウンドを個別に処理することができ、サウンド・メイキングの自由度を大幅に高めています。この機能は、ライブパフォーマンスやスタジオでのサウンド・エンジニアリングにおいて、とても役立ちます。
5. アナログ・ディストーション回路
TR-707には、アナログ・ディストーション回路が搭載されています。この回路を通すことで、ドラム・サウンドに独特の歪みとサチュレーションを加えることができ、サウンドにパンチとキャラクターを与えることができます。このアナログ回路によるサウンドの変化は、TR-707ならではの魅力と言えるでしょう。
まとめ
Roland / TR-707 は、そのユニークなPCMドラムサウンド、直感的なシーケンサー、そしてMIDI機能といった特徴により、エレクトロニック・ミュージック制作において確固たる地位を築いてきたリズム・マシンです。現代の音楽制作においても、そのサウンドキャラクターは新鮮なインスピレーションを与えてくれるでしょう。もし、個性的なリズム・トラックや、往年のエレクトロニック・サウンドを追求するのであれば、Roland / TR-707 はとてもおすすめできるエフェクターです。