Boss / FT-2 Dynamic Filter とは

Boss / FT-2 Dynamic Filter は、1980年代に登場した、ギターサウンドにユニークなダイナミックなフィルター効果を加えることができるエフェクターです。単なるワウペダルやエンベロープフィルターとは異なり、ピッキングの強弱やギターのボリューム操作に追従してフィルターの開き具合を変化させ、表現力豊かなサウンドメイクを可能にします。

Boss / FT-2 Dynamic Filter の特徴

1. ピッキングニュアンスに追従するエンベロープ・コントロール

このペダルの核となる機能は、ピッキングの強弱やアタック感に反応してフィルターの特性を変化させるエンベロープ・コントロールです。強くピッキングすればフィルターは開き、弱くピッキングすれば閉じるといった、まるで歌うようなサウンドキャラクターを作り出せます。このレスポンスの良さは、感情のこもった演奏表現をギターサウンドに吹き込む上でとても強力な武器となります。

2. フィルター・レンジの広さとキャラクター設定

FT-2は、フィルターが変化する帯域幅を調整できる「RANGE」ノブと、フィルターのかかり具合を決定づける「Q」ノブを備えています。RANGEノブを広くとれば、より広範囲の周波数が動く、ダイナミックで表情豊かなサウンドに。Qノブを上げることで、フィルターのピークが強調され、より個性的なサウンドメイクができます。この二つのコントロールの組み合わせで、スムースなワウサウンドから、際立ったピークを持つサウンドまで、幅広いキャラクターを作り出すことができます。

3. 独立したベース・フィルター搭載

FT-2のユニークな点として、ギターの低音域に作用する独立したベース・フィルターを搭載していることが挙げられます。これにより、ギターのコードストロークや低音弦を弾いた際に、フィルター効果とは別に、サウンドの低域に深みや厚みを加えることができます。単に高域をカット・ブーストするだけでなく、サウンド全体の質感をコントロールできるのは、ミックスを考える上でもとても役立ちます。

4. 3つのサウンド・モード

FT-2には、フィルターのキャラクターを切り替えられる3つのモードが搭載されています。

• LOW PASS: 低音域をカットし、高音域を強調するモード。ギターのクリーンサウンドにブライトさを加えたり、リードプレイで音を前に出す際に効果的です。
• HIGH PASS: 高音域をカットし、低音域を強調するモード。サウンドに太さや丸みを加えたい場合に適しています。
• BAND PASS: 特定の帯域だけを強調するモード。独特の「鳴り」や「うねり」を生み出すのに使えます。

それぞれのモードでフィルターの開き方が変化するため、多様なサウンドメイクが可能です。

5. タッチ・ワウ的な使い方も

エンベロープ・コントロールの繊細さから、ピッキングのニュアンスでワウペダルを踏み込むような効果を再現することもできます。ギターのボリュームペダルと組み合わせることで、より人間的で感情的なワウサウンドをアウトプットできるでしょう。このペダル一台で、ワウペダルやエンベロープフィルター、さらにはそれ以上の表現力を得られる可能性があります。

まとめ

Boss / FT-2 Dynamic Filter は、そのユニークなエンベロープ・コントロールとフィルター・キャラクター設定により、ギターサウンドに新たな次元の表現力を与えてくれるエフェクターです。ピッキングへの追従性、広範なサウンドメイク能力、そして独立したベース・フィルターといった特徴は、音楽制作の現場で、サウンドに深みと個性を求めるプロフェッショナルにとって、とても魅力的な選択肢となるはずです。他のフィルター系エフェクターとは一線を画す、このペダルならではのサウンドをぜひ体験してほしいと思います。きっと、サウンドパレットに彩りを加えてくれるでしょう。このペダルは、音楽制作におけるサウンドデザインの可能性を広げる、おすすめのエフェクターです。